久々で新しい自作曲のご紹介になります。
ただ自作曲と言っても、純粋に100%自作したわけではありません。
前にもアップしていますが、フランスの作曲家「テオドール・デュボア(1837-1924)」の和声テキスト「デュボア 和声学(平尾貴四男 訳/矢代秋雄 校訂・増補 音友社)」の中の課題を使って実作化した曲の3作目です。
BGMとして譜面の動画に付けてみました。
例によって著作権は放棄していませんが、好奇心が湧かれたらご覧ください。
個人レベルで譜面を鍵盤上などで音にするのは許容したいと思いますのでどうぞ。
この曲、なかなか仕上がらなくて正直なハナシ、放置状態でした。
細切れ時間を作ってはあっちこっちと作り直したりしていましたが、今回ようやく日の目をみた感じです。爆
デュボア「和声学」は面白い!?「音友和声」に劣らず「ハマり込める」?
その前に、ちょっとこのデュボア「和声学」に対する私の取り組み(と言うほど大げさではありませんが笑)をお伝えしてみます。
課題の実作化とか、ちょっと考えられないかも知れませんが、デュボア本人が約1世紀前に亡くなっていること、および我が国でフツーに使われている音友社「和声 理論と実習」全4巻(以下「音友和声」)と比較して、非常に内容も負けず劣らず充実しています。
というか、ある意味では「音友和声」よりも諸理論を深掘りしている場合もありますし(特に「反復進行」の恐るべき多様性!)各規則や理論に対して原初的な理由付けがあったりするので、全体として非常にみるべきものが多いと感じます。
↓デュボアの解説については、こちらを参照。
また、その課題も音楽的に内容が豊富で、あちこち変更したりいじったりすることで自分的には結構面白い作品ができるように感じています。
そういう興味が手伝って、この古い和声テキストは今でもちょいちょい見直してみたり、アレンジしてみたりしているわけですね。
和声学の課題ですから、所与のバスやソプラノが課題として与えられ、テキストの諸規則に従ってその実施作業をするのが普通の仕事になります。
ですが私の場合、以前の作品もそうですが、それらのバスやソプラノの課題をそのまま規則通りに実施するのは面白みがない。
というか、実施作業をしているうちにいろいろとアイデアが連鎖的に浮かんできて、結局のところ
「課題の音はこっちに変えてしまおう」
「ここに自前のフレーズを挟んでしまおう」
とか、
「全体をもっと音楽として『聞けるように』できないか?こうしたらどうだ?」
などなど試行錯誤をしています。
このデュボアの「和声学」、特に長大な課題となるとソプラノ課題にしろバス課題にしろ、いろいろとアイデアが浮かんできて、面白さが段違いな気がします。
語弊を覚悟で言ってしまうと、ほとんど純な作曲の作業とそう大差ない。
少なくとも自分的にはそう思えましたし、だからこそいっそうハマり込める、そういう認識です。
専門家について学習すると続かなかったかも
音大生や音大を目指す方たちにとって、この和声学という分野は必須科目に違いありませんが、逆にそういう専門的な学習をされている方のうち、あくまでも「副科」としている場合などは相当大変に感じているかも知れませんし、そういう方たちの目からすれば、あくまでも専門外の私がこういう言い方をすることを好まないかも知れません。
ただ私の場合、結局のところ趣味の延長から発した学習とはいえ、自分で自由に時間や労力をとって気楽に進めているので、それほどストレスを感じない、と言うのもあると思います。この辺はそう割り引いて頂ければ幸いですね。
ですので逆に、誰か専門の人に師事したりして「アレやっちゃダメこれやっちゃダメ」とか「こんなのはいかん、やり直し!」などと言われ続ければ日頃からストレス満載の私なので、もしかしたら続かなかった可能性があります(音楽学校で『音友和声』を3巻まで終えたことは終えましたが爆)。
ちょっと話は逸れてしまいますが、私の「和声教室オンザウェブ -海-」で和声学や対位法を受講されている方たちにはいつも感謝しています。
添削の毎回、私の方から数々の指摘事項を伝えられて大変と思いますし、そのたびに頭が下がる思いを感じています。
【セクエンス2】(テオドール・デュボワの和声課題に基づく)ご紹介
ということで前置きが長くなってしまいましたが、今回できあがった作品をご紹介いたします。
題名は「セクエンス2」としてみました。
セクエンスとは英語に直すとSequenceで、意味は「連続(するもの)」とか「順序」等と出てくるようですが、音楽用語では「反復進行」。
意味は「2個以上の和音のユニットが、音度を変えて連続するもの」
です(あくまでも私個人の見解としての意味づけ)。
この「反復進行」の意味として題名に用いました。
その理由は上でもちょっと触れましたが、デュボア「和声学」ではこの「反復進行」の紹介と学習が非常に充実していて、それこそ「音友和声」では学びきれないような内容が多数あります。
そして今回参考にした同「和声学」中の課題も、言ってみればこの「反復進行」がバラエティ豊かに連続していて、自分的に非常に興味をそそるものでした。
なお「セクエンス2」の「2」は、前作の同じデュボア「和声学」で用いた課題、そしてそのアレンジがやはり反復進行を中心としたものだったので、その「第2弾」としての位置づけです。
ということで、譜面と曲を含むビデオを下にご紹介します。
規則事項と自分の音楽との葛藤(というか丁々発止)
理論をしっかり知って、それを縦横無尽に運用できることがこういう和声学、そして対位法の学習には求められると思います。
もちろん理論だけを追求して行くというのもアリだと思いますし、また逆に音だけを追求して、その中で自身の感性にマッチした和声やら対位法の内容を充実させていくという手も有るかも知れません。
私の場合には、あくまでも発想は「素人」だと実感しています。
つまり原初的なスタンスに立ち戻って、こういう理論でも音楽でもそうですが、それが
「自分の口(というか耳)に合うか合わないか」
でしかないかも知れません。
ただそれでもラッキーと言いますか、こういう難しめの理論書とか実習書でもそこそこに「好き」なこともあって、結局のところオンライン上で曲がりなりにも教える立場になれている、そういう経緯なんだろうと思います。
要するに、自分の中で「好き」と「嫌い」が葛藤と言うよりは丁々発止、「これがイヤだ、こっちが好き」を繰り返しているのかも知れません。
だから、
「好きこそものの上手なれ」
というのは、ですから私の場合には肌で感じているといえそうです。
逆に「嫌いなもの」「興味が湧かないもの」というのは、どんなに教えるのがうまい人でも私なら避けて通ってしまうのかも知れません。爆