洋紀Hiromichiの部屋

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創作音楽用語1⃣「パッヘルコード」

私自身で創作してみた音楽用語、「パッヘルコード」をご紹介したいと思います。

あくまでも私自身の創作音楽用語というのは、公的には知られていない、認められていないものですので、この辺あらかじめご了承願います。

自画自賛になって申し訳ありませんが、中には
「我ながらなかなかよく名付けた」

みたいなケースもあったり、はたまた
「こういう場合、上手い名称の付け方を工夫すれば、もっと取っつきやすいものになるだろう」
と頭をひねったところもあります。
「パッヘルコード」は大体こっちの部類かな~、と考えてます。

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パッヘルコードとは

まず下のような和声、つまり和音連結をご覧ください。「パッヘルコード」とはつまりこれです。
(最後の4小節目は私が付け加えた終止部分)


⇒(譜面や写真など、当ブログのコンテンツに対する規制事項はこちらを参照

譜面になじんでおられる方ならば
「あーっこれか!?」
のハナシかと思います。

音楽理論、とりわけ和声理論で言うと、これは「反復進行」(音友社「和声 理論と実習 Ⅲ」p.229)の一形態です。

反復進行は英語でセクエンス、ドイツ語ではゼクエンツとも呼ばれる和音連結の形態の一つで、ある意味「終止形」の意味をなすカデンツという呼称と対をなすものになります。


和声分析上、カデンツが音楽の開始から終止までの一連を指して言うのに対し、反復進行とは一定の和音連結のユニットを、一定の音度を変えつつ反復連続するもので、結果その開始や終止を持たないものになります。
なお、カデンツは音友社「和声 理論と実習」テキストシリーズの初級、第Ⅰ巻で“和声の終止形”として学習します。

下はそういった反復進行の譜例です。

和声学テキスト「デュボア和声学」および私の創作からこしらえてみた反復進行です。
反復進行は原理的に無限に繰り返される音楽ですので、現実には人為的に開始点や終止点を前後に与えていく必要があります。
上の譜例でもそうしています。他と同じく著作権の放棄はありませんが、よかったら和音分析されて音出ししてみてください。

和声上、すべての音楽はカデンツとセクエンスによる任意の結合体?

ただ、もちろん開始や終止を持たないからと言って実際上では音楽を無限に続けることなどあり得ませんから、音楽を作る側としては任意にその開始点や終始点を人為的に定め、そこに人為的な開始や終止を作って持たせることになります。
たとえば上の譜例でも、終止の部分には反復進行をやめて終止に見合った和声を持たせています。

よって以下は私の持論になりますが、音楽を和声的な見地から捕らえた場合、

終止形、すなわちカデンツと反復進行、すなわちセクエンス(ゼクエンツ)による任意の結合体・連続体

と言えると思います。

その内、反復進行となるこの「パッヘルコード」という名称の大元は、実はバロック期の作曲家ヨハン・パッヘルベル(1653-1706 ドイツ)が作曲した「パッヘルベルのカノン」と呼ばれている曲です。

カノン」とは音楽形式の一種で、ある声部に一つのメロディが最初に現れた後、それを別の声部が別な音程で模倣するものを指します。
フーガが一つのメロディを調を変えたりメロディの形を変えたりして再現するのに対し、カノンは基本的に調を変えず、またメロディの形も変えることなく再現するものです。

その和声構成を捉えて私がまず「パッヘルベル・コード」と命名し、さらにそれを縮めて「パッヘルコード」としてみた、これがパッヘルコードという名称のネタ明かしです。
ちなみにこの原曲は「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調(ヨハン・パッヘルベル作曲)」の第一曲で、同曲集のうちでこれがあまりにも有名になりました。

当然に反復進行は、上記の通りいわば

“始めも終わりもない、延々と連続する和声”

ですので、実際に曲に仕上げるとすればパッヘルベルがそうしたように、人為的にその開始・末尾などに別個の和声としてカデンツをくっつけて、曲の終止とする必要があります。

シンプルで手軽な美しいパッヘルコードはサビにも冒頭にもうってつけ

「パッヘルコード」は、そのままに使っても美しいので、けっこうお手軽に作曲に応用できます。

実際、反復進行と言ってもこのパッヘルコードの和音はすべて一番単純な「三和音」のみで構成され、それほど凝った和音連結でもありません。
それでいて非常に美しく聞こえて誰でも親しめるため、曲の中に使えば簡単に聴者を引きつける魅力があります。

なので現在、ちょっとした歌謡曲やポップなどなど、様々な曲の中で使われていたりします。
アニメやドラマののOPやBGMにも頻繁に耳にしますし、個人的な心象としてはそれこそ「聞き飽きたなあ~」くらいにあふれているコード進行です。
曲の冒頭とかサビの部分としても簡単に見栄え、というか聴き映えがよくできるので、大変重宝です。

結果これを私は「パッヘルベルコード」と名付け、それをもっと呼びやすいように短縮して「パッヘルコード」などと呼んでいて、自分の中では定着しつつあります。

もしかしたら、もっと縮めて「パコ」と言っても良いかとW

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パッヘルコードは長調オンリー?

音友社の和声テキスト「和声 理論と実習」ならば、Ⅲ巻の246ページで現れる反復進行の1形態です。

繰り返しますが、反復進行というのはふつうの和声進行、つまりⅠで始まってⅣやⅤを経てⅠに集結するような、いわゆる「カデンツ」という和声進行と違い、ちょっと難しいハナシですが、“一定の規則に従って際限なく続く(ことができる)和声進行”です。

簡潔明瞭な和声でありながら非常に美しいので、実際にポップ音楽とかアニメや映画のOPでも良く見かけるコード進行です。
というか、そういうよく耳にする音楽では、必ずといって良いほどサビなどに使われています。

ところで、このパッヘルコード、ふつうはこの和声進行は長調として使われています。
反復進行の中には、長調など特定の調でしか用いられることがない、あるいは逆に短調で用いられるのが少ないものがたしかに存在します。

ではこの「パッヘルコード」も同様か?
つまり、
短調で使うパッヘルコードってないのか?

というと、ないことはないです。数は少ないですが、実際の曲でも使っているものがちゃんとあります。

たとえば、誰もが聴いたことがある曲として、いわゆる「宮崎アニメ」と呼ばれるアニメ映画のひとつ、「天空の城ラピュタ」のOPがその最たる典型例になると思います。

この曲では最初に短調のパッヘルコードが現れた後、同じく長調でパッヘルコードが繰り返されます。


このように短調、長調を取り混ぜたパッヘルコードを駆使するテクニックには作曲者・久石譲氏の才気が煥発(かんぱつ)した顕(あらわ)れと言えるかもしれません。

また、久石譲氏はこのパッヘルコードを気に入っておられるようで、長調のコードなら他の宮崎アニメの中でも「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」などなど、多くの作品の中で駆使しています。

ただやはりそれでも長調の方が数では圧倒的なようです。
元々がこのパッヘルコードで有名になったパッヘルベル自身、「パッヘルベルのカノン」では長調の和声を繰り返す操作のみを基本的に駆使して曲を作り上げていますが、それで長い年月を経た今日でもなお魅力をたたえているのもその証左と言えるかも知れません。

なお個人的には、「あーだから今夜だけは~」で冒頭の出だしを飾るバンドグループ「チューリップ」の「心の旅」が長く印象に残っています。


一昔前、と言ってももう50年も前のことになりますが、当時のこのヒット曲では、非常に巧みにパッヘルコードを駆使して何度も曲中に現れて、とても美しく感動的なメロディを作り上げています。

同時にこの曲は私自身が高校の修学旅行中、夕食後に行われたレクリエーションの中でクラス全体で熱唱していたりしたこともあって、今でもよい思い出になっています。

といってしまうとなんだか古い人間が身バレしていますが、時代が変わろうと年月が経とうと和声やコード進行が人に与える印象はそうそう変わるものではない、というところでしょうか笑

投稿日:2019年4月7日
修正後再投稿日:2026年4月16日

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