久しぶりに自作曲のご紹介です。
かなりがっつりしたフーガの曲になりますが、構造的には「ぶっちゃけフーガ」的、というべきでしょうか。
「ピアノのためのフーガ ト長調」
という曲です。
この曲も構想のスタート時がけっこう古く、もうかれこれ25年ほど前になります。
この曲とともに、作曲のいきさつなどを交えてお伝えしたいと思います。
いろいろ手直ししてン十年?「フーガト長調」は音楽教室で弾いてもらったことも
この曲の構想ができたのは、だいたいそう言うわけで今から25年ほど前のことになります。
もっと細かくいえば、はっきりとこの「フーガト長調」のテーマ作りの素材となった音楽を構想に持ち始めたのは、それよりももっとまえになりますから、結局30年くらい前から作ろう、と思っていたといってよいかもしれません。
そして、後に書いたようにパソコンのソフトを駆使して曲作りに集中した結果、最初にどうやら原形のような曲の形として、できあがったのは作り始めて約3ヶ月後だったと思います。
ですが結局、その後も無数に改作しています。
最初作った曲の内容がなんだかいびつ、やっつけ感があったり、後になってもっと良さそうな構想とかフレーズが浮かんできたりしてしまい、その結果今に至るまでン十年?の推敲期間になってしまっています。
今後も直していくのかどうか?
あくまでも予想ですがそれもあり得ると思います。
下にも書きましたが、自分の好みとか、自分で一番気に入るように作るのが基本的なスタンスですので、新しい曲も含めて「やっぱりこっちの方が良いだろう」となったら、作り直すように思えます。
【フーガト長調】ご紹介。フーガとしてはかなり自由。好き放題に作りました爆
そういうわけで、曲の方を早速ご紹介してみることにします。
冒頭でもちょっと触れましたが、形式的には普通言われるフーガのように、かなり対位法的に煮詰まったものではなく、むしろポリフォニックに流れていたりする部分もあります。
というか、私の作曲の方向性としていいますが、純然たるアマチュア思考といってよいかもしれません。
私の作り方の特徴になると思いますが、とにかく自分の好きになれる曲を作りたい、という一点に方向性が集約されますし、その中でいくらでも自分の好き放題にあちこちを作り上げたり壊したり、という意味が強いと思います。
逆に言うと、作るのがどうも気乗りしない、イヤそうな感じの曲だったら途中でもばったりやめてしまう、ということでしょうか爆
ということで、よろしかったらご試聴ください。
(注:いつもの通りですが、著作権は放棄しておりません。個人で楽しむなど、著作権を侵害しない限りにおいてご視聴願います)
某「ヤ〇ハ音楽教室」のピアノ講師に引き受けて頂いて初演奏
作曲の経緯を続けますが。
そういうわけで、なんとかかんとかひとまずは25年ほど前に完成しました。
とはいえ、作ったはよいが自分で弾ける曲なのか?
というのが、作曲したときに一番頭をもたげた問題です。
当たり前でしたが、自分の技術などではとうてい弾くのは無理。
私自身はピアノの技量といえば、大学に入学以後、思い出したように練習する程度でかれこれ10年。
この自分の曲など絶対弾けるようなレベルではなく、せいぜいがインヴェンションを数曲、つっかえつっかえ弾ける程度で、しかもピアノの練習とは、当時でもすでに10年近く遠ざかってしまっており、ほとんどズブの素人同然でした。
この曲は、当時からメジャーになり始めたDTM、つまりパソコン上のソフトや機器を使って作曲やアレンジをする方法を駆使して作ったもので、要するにパソコン上で作曲ソフトに音符を入力してこしらえたものですが、結局のところ音楽方面につてのない私としては、そのパソコン上で奏でる合成音のみが頼りでした。
このため、そうなるとやはり曲ができあがってその次にわいて出た願望というのは、実際に本物のピアノなどの楽器を使って演奏した際、その音楽表現や効果はどうなるものなのか?
ほぼこういう願望が濃くなると言ってよいでしょう。
というわけで、それ以後私は、地元を中心として音楽教室を訪れたりして、演奏を頼んだりしたことがあります。
結局ほとんど断られてしまいましたが、もとより当然ですし、ある意味覚悟もありました。
ただ、中には「別な曲だったら」という風に引き受けてくれる先生もいたりして、その先生のご尽力のおかげで、別な曲が地方都市の小ホール、あるいは東京のとあるスタジオで演奏されたりしたこともありました。
そして、この「フーガト長調」自体、ようやく弾いてくれる先生が見つかった、という次第です。
多少具体的にいいますと、千葉県の主要都市にある、全国的に超メジャーな音楽教室、「ヤ〇ハ音楽教室」の女性のピアノ講師の方です。
あくまで私の主観的な感想ですが、その教室では筆頭の方だったのではないかと思います。
そうやって、結局その教室の個室の中で、「試奏」の形で初演が実現しています。
ピアノ講師の心意気に感謝。音楽教室のマネージャー男性からは「教室始まって以来のこと」と言われたことが
もちろん些少の極みですが、「寸志」としての心付けも礼儀そしてピアノレッスンという形としてお渡ししました。
ですがそれでも、その先生の心意気には今でも感謝しています。
実際、その教室のマネージャーに当たるらしい男性の方も、私のような「頼み事」は、教室始まって以来のことだった、と語ってくれています。
おそらくはその先生も、ある程度マネージャーの方にも交渉してくださっていたのかもしれません。
そして、もうこれほどに以前のことでしたからなんとかなりましたが、今のようにより世知辛い現状となっては、同じ様な依頼を持ち込んでも門前払いされる可能性も大きいかと思いますし、おそらくは余計に迷惑することになるでしょう。
ですから、私の口からも同様の依頼などは決しておすすめなどできません。
ただ、そう考えれば、当時のこの先生やマネージャーの方たちの努力には申し訳ないやら感謝やらで、余計に頭が上がらないですね。
パッヘルコードのフーガーのテーマはちょっと珍しい?
それから、最後になりますがこの曲のテーマについて、少しお伝えしておきます。
この曲は、曲以前にフーガのテーマが浮かんだのが最初になりますが、そういうわけで、まずそれが浮かんだのはかれこれ25年も前のことになります。
お聞き頂くとおわかりの通り、このフーガのテーマは私の命名しているパッヘルコードという和声が主体となっていて、結局和声学でいうところの反復進行、セクエンスという和声を取っています。
例の「音友和声」なら、Ⅲ巻の229ページ以降に載っていますね。
ですが、ある意味でフーガのテーマとしてはちょっと珍しいかもしれません。
実際、私もバッハのフーガは一通り聴いたことがあると言ってよいと思いますが、こういうあからさまなパッヘルコードをテーマにしたフーガとか、あるいはフーガもどきのフゲッタやフガートは聞いた記憶がないです。
もしかすると他の作曲家が手がけているのかもしれませんが、ただ、パッヘルコードに限らず、こういうセクエンスを使うと、けっこう和声がきれいに聞こえることが多く、またそういう和声を選んでテーマとすると、フーガ全体の曲想にもプラスに作用することが多いと感じます。
実際、バッハのフーガでもセクエンスをテーマの中に使ったフーガというのは、数が少ないですがそれでも「オルガンのための幻想曲とフーガ ト短調」や「オルガンのための前奏曲とフーガ イ短調」など、人気があって有名な曲が多いです。
ですのでこのパッヘルコードをフーガのテーマとして使うのは、ある意味自分にとって冒険でしたし、そしてまたこういうバッハのセクエンスをフーガのテーマに持つ作品を見る限り、「かなりうまい具合に自分でも気に入る曲ができる可能性が高い」、そう踏んだわけです。
あくまでも他者による絶対的な評価は抜き、純然たるアマチュア思考ですからこれでよいわけです。
なお、この曲を初めて弾いてくださった「ヤ〇ハ音楽教室」の先生も、風の便りで聞いていますが、実はもう他界されてしまったとのことです。
初めて教室の中で弾いてくださった際、その先生には
「すごく難しい曲ですね」
とも言われましたし、
「この曲は音大に持ち込んで弾いてもらってみたらいかがですか?」
とも言われたことがありました。
それは賛辞としてありがたかったですが、いざ音大となると今回以上にいろいろと段取りや手続き、そして何より「フトコロからの持ち出し」が気になるので、手控えています爆
この先生には、その他にお礼として、この先生からテーマをもらってそれで曲を作って差し上げたことがありました。
かえって迷惑になったかもれず、そう考えれば申し訳ないのですが、その曲、私は今でも気に入っていて、ウォークマンに入れて時折聞いています。