洋紀Hiromichiの部屋

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対位法は2声から?それとも4声から?

対位法は2声から?それとも4声から?

以前よくピアノ奏者、というかピアノを弾いている人たちにテーマをもらってフーガやその他の形式の曲を作るようなことをしていました。

自前のテーマを使うこともありますが、元々対位法を過度に練習したせいなのか、いろんなメロディを立ち上げて楽曲化するのが面白くなっているところです。

対位法の実習は所与の定旋律に対して制約された諸条件下でどれほど豊富な音楽表現ができるか、という訓練がもっぱらですから、それに慣れれば対位法特有の厳しい規則も結構面白く感じます。

フックスが古典対位法の教程を発表したのは確かバッハが生きていた時代だったと思いますが、バッハ自身はその教典を用いず、自分の弟子や子供達には自分独自の方法で対位法を修得させたというような事柄が妻アンナ・マグダレーナの回想録「バッハの思い出」にはありました。

M・アンナ・バッハ (著), 山下 肇 (翻訳) 文庫¥1,100



その中には自分もよく覚えてはいないのですが、対位法の初歩段階としてすぐに4声をやらせるというような、フックスとはまるで逆のフローの教習課程を設けていたというくだりがあります。

考えてみれば通常対位法の勉強を開始する段階では誰でもたいてい和声学を並行していて、しかもそれをほぼ終了しているかまたはそれと同等のレベルまで達しているはずですのでフックス流の二声第一類のカラッポな響きを同時に扱うのはうざったいと言えるかも知れないし、実際自分もやってみてずいぶん忍耐を必要としました。

それならばというわけで、和声の方で既に慣れ染みの四声体の響きから出発して徐々に各声部をメロディ化するのもあり得るのかも知れない。

対位法の醍醐味で言うならば四声だろうと二声だろうと各声部の対位法的興味の研究は基本的には同じベクトルを持っているだろうし、多数の声部は少数のそれに対して禁則逃れが大変だという事柄が横たわっているにすぎない。

禁則の回避というのは対位法学習上の主眼であってはならず、諸条件を乗り越えて音楽効果を極大まで現出せしめるということが学習上の命題であるはずです。

まあいろいろな理論的根拠はあげるとキリ無いですが、対位法に限らず何でもそうでしょうけどどれほど魂を詰めて取り組んでも嫌気がささないほどに好きで興味があれば結構イイ線行くもんだと思います(^^)。

(旧サイト「hiromichiの部屋」より移植・修正)

池内 友次郎 (著) ¥2,750
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